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Day3

TOHOKU ACCELERATOR DEMO DAY

イベントレポート

漆田義孝

3日間に渡って開催された「Sendai For Startups!」の最終日、『TOHOKU ACCELERATOR DEMO DAY』が、2月11日(日)に開催されました。

Day3「TOHOKU ACCELERATOR DEMO DAY」

Day3は、「東北から創る新しい世界」がテーマです。

より大きなビジネスを興していくことを目指す起業家たちを集中支援する「東北アクセラレーター」プログラム。このプログラムに採択された、15名の起業家のが登壇します。

イベント前半は、彼らの先輩といえる、全国で活躍する起業家のみなさんによるゲストトーク(講演)、そして後半に15名のプレゼンテーションが行われるという、盛りだくさんの内容となりました。

オープニングでは、3日目の主催団体である株式会社ゼロワンブースターの共同代表取締役、合田ジョージが、本プログラムの紹介を行いました。

合田:「我々ゼロワンブースターは、大手企業の社内新事業の支援や、大企業とベンチャー企業の連携支援、大学研究・行政・国際関係の事業化などを手がけています。アクセラレーターというのは、ベンチャー企業の事業プランを募って選抜し、大手企業等と組んで支援をしていきます。今回は、行政、仙台市と連携して、東北の起業家を支援しています。そして今日がその発表という形になります。

今回は非常に珍しい取り組みで、仙台市が主催しているが、東北全体の起業家、さらに東北で事業化をする起業家も対象になっています。

世界ではこういった形で、ただ地域内の起業を支援するのではなく、広い領域のベンチャーを支援する、簡単に言うと関係人口を築いていく(事例が広まっている)。例えば韓国ソウル市では、世界中のベンチャー企業を集めている。マレーシアのクアラルンプールでもやっている。そういった意味では、今回の仙台市の取り組みは日本で初めての、国際標準な起業家支援といえます。

日本語では、『アントレプレナー』を『起業家』と訳しているが、本当にそれでいいんでしょうか。売りたい人と買いたい人、あるいは技術と市場、それを『結びつける人』というのが、『アントレプレナー』の本来の意味です。日本はどうしても地域や会社が閉じてしまっているが、そういったものを横方向につないでいくことで、世界はイノベーションを起こしてきたんです。

私は、東北から新しい世界が創られた、東京にはできない、日本の転換期になったと思っています。ぜひ一緒に、世界を東北から良くしていきましょう」

ゲストトーク(1)

一人目のゲストスピーカーは、株式会社ワンテーブル 代表取締役 島田昌幸さん。

大学在学中からベンチャービジネスを手がけていた島田さん。震災の後、生産・加工から流通・販売まで一貫した取り組みを通じて雇用創出を行うことを決意し、被災地から新たな価値を創造し、世界に発信することを目指しています。

島田さん:「ワンテーブルは昨年11月に立ち上げ、明確に2020年の上場を目指しています。スローガンは『つくる力と、守る力で、命を豊かにする』。テーマっていろいろあると思うんですが、我々は被災地で事業をしてきた中で、『命』に言及していこうと決めました

イノベーションについて、いくつか思うポイントがあります。『あなたの言っていることが、理解できない。言っていることが、想像できない。だけど、共感できる』ここにイノベーションの可能性があると信じて、ずっとやってきました。理解はできないけど、必要だと思うこと、誰かがやらなければならない。他の誰かができるならその人がやればいいけど、自分にしかできないことはなんなんだろう、ここがイノベーションが力強く生み出される瞬間だと思います」

島田さんは、今日僕が紹介する事業は、全て周りから反対されてきたことだ、と前置きして、これまでの取り組み事例を紹介しました。

例えば、名取で運営している6次産業をテーマにした商業施設「ロクファームアタラタ」の敷地内にインターナショナルスクールをオープン。子どもたちが小さい頃から外国人に触れる機会をつくりたいと思い、この地域では募集が集まらないと言われたが、実際は定員オーバーになっています。

また、苦節6〜7年は手がけているという、備蓄防災事業。これまでなんども大きな災害に見舞われているにもかかわらず、備蓄されていたのは未だに「乾パン」。結果的に水がない。阪神淡路大震災を経験したのに、中越地震でも、東日本大震災でも、熊本地震でも、同じことが起きてしまう。

そこで島田さんは、備蓄できるゼリーをつくろうとしています。いま、世界にはまだ賞味期限が2年以上のゼリーは存在しないそうです。ワンテーブルでは、賞味期限が5年のものを開発しています。

島田さん:「事業って、いまはもう、大きいとか小さいという規模の議論は終わった。強いのか、弱いのかが問われていると思います」

講演後、司会を務める合田と、島田さんの取り組みから起業家が学べる姿勢について意見交換を行いました。

合田:「普通に市場を考えたら東京でやったほうがいいかもしれないけど、ワクワクするからここでやる、というのが重要ですよね。市場調査からはじめて、空いている市場があるからやる、というのはあんまりワクワクしません。いま世界はどちらかというと、私が何をやりたくて、どんな使命感を持ってやっているかという方向に動いている。島田さんはまさに世界の最先端の姿勢で、取り組んでいると思います」

ゲストトーク(2)

二人目のゲストスピーカーは、株式会社農業総合研究所 代表取締役社長の及川智正さん。

及川さんは和歌山県で起業し、全国の生産者がつくる新鮮な農産物を、都市部のスーパーマーケット内などで販売する「農家の直売所」などの事業を展開。2016年6月に、農業ベンチャー初の東証マザーズ上場を果たしています。

実は東京生まれの及川さん。東京農業大学出身で、卒業論文のために日本の農業の現状を調べ、危機感を持つようになりました。一度企業に就職しますが、結婚を機になんと自分が寿退社をして、奥さんの出身である和歌山県に移住します。

何か農業の仕組みに問題があるのではないか、と思い、現場を経験するために、きゅうり農家をはじめました。

及川さん:「農業をはじめて、大きく感じたことは2つ。世の中にこんなにつまらない仕事はあるか、ということ。100%農協さんに集荷して、伝票には『おいしかったよ、ありがとう』なんて書いてない。これが365日続いて、オエーッとなった。もうひとつは、なかなか一人の力では、現場から変えられることは少ないと思ったんです。

で、私は頭が悪いので、生産現場から変えられないのであれば、販売現場から変えよう、と思って、3年間きゅうり農家をやった後、1年間大阪で八百屋をやりました。

これはどこの業界でも言えるのかもしれないけど、つくっていたときは、1円でも高く買って欲しかったんですね。でも八百屋を始めると、利益を出したくなるんですよ。何をしたかというと、農家を買い叩くようになったんです。両方を経験していたのに、立場が変わると考え方が変わってしまうなと。

この水と油の関係、生産と販売の交わるところ、流通というものを良くしない限り、日本の農業のしくみはよくならないんじゃないかと思い、和歌山で起業しました」

実は、社長をやりたいと思ったことはないし、今でもやめたいと冗談交じりに話す及川さん。自分のやりたい仕事が世の中にないから、「流通を変える会社が必要なんだ」という思いだけで設立したそうです。だから、この会社にはビジネスモデルがありません。

最初に考えたのは、農家の営業コンサルタント。しかしせっかく商流をつくっても、農家さんはコンサルタントにお金を支払うという文化がありません。代わりにみかんを30箱もらって、駅前でござを引いて売ったのが、会社の最初の売り上げになりました。

及川さん:「資本主義の世の中で、儲からないというのは、ありがとうと言われていない、なくなってもよいというのと同じ意味です。でも、農業がなくなってもよいわけがない! だから、衰退しない仕組みをつくるんです。

農家を助けたいとかこれっぽっちも思っていなくて、食べる方を幸せにするために、農家さんと一緒に衰退しない仕組みをつくりたいんです」

『農家の直売所』事業では、いわゆるファーマーズマーケットのような売り場を都会に持っていって、そこを全国の農家に開放しています。ITと物流のプラットフォームを組み合わせ、全国7200名の生産者が、全国1100店舗の中から自分の売りたい売り場を選んで販売することができます。頑張った人が成長できる仕組みで、頑張れない人がやめていくのも大切だ、と及川さんは言います。

お客様にもITのプラットフォームを提供しており、お客様の「おいしいね!」が生産者に届く仕組み、お気に入りの生産者の情報、商品が並ぶよという情報がお客様に届く仕組みになっています。

及川さん:「僕から起業家の皆さんへのメッセージは、まず進んでリスクを取ること。成功の反対は、やらないことだと思っています。

そして、自分を信じること。そのためには、誰よりも努力をしないといけません。人生谷あり谷あり谷ありで、山なんかありません。この谷を、山と思えるプラス思考がありますか? ということです。

最後に。今はとってもいい時代なんです。ござを広げてみかんを売っていたら、8年後に上場できちゃったんですよ。大切なのは、今はいい時代と皆さんが認識すること。周りにもぜひ言ってほしい。そうすれば、本当にいい時代になると思っています。そう思って情熱を燃やせば、皆さんも必ず成功します」

合田:「及川さんの会社は和歌山発ベンチャー。IT系は別として、実は東京発の大きな事業ってそんなにないんです。海外では、都市部が有利で地方が不利だという表現はほぼしません。実は地域の方が有利なんです。

理由は簡単で、地域の方が横展開をしやすいから。だから規模化する。このロジックはぜひ皆さんにお伝えしたいし、まさにこのロジックを体現したのが及川さんだと思っています」

東北アクセラレーター採択起業家15チームによるプレゼンテーション

先輩起業家メンターによる4ヶ月に渡る支援を経て、本日発表する、15名の起業家の皆さん。来場者の投票によって、共感賞が決まります。

また、来場者が登壇した起業家を応援したい場合に、両者をつなぐ「Joinカード」も配布されました。

会場後方には、それぞれのブースも設置され、最終日らしい賑わいを見せていました。

それではいよいよ、15名の起業家の皆さんのプレゼンテーションを紹介していきましょう!

結婚式の固定概念をなくして、ナシ婚をなくす
LULUbridal 代表 五十嵐有沙さん

結婚式を挙げる夫婦が減り、結婚式が当たり前ではない時代へ突入しています。

結婚式の平均単価は350万円。そしてお祝いしたいだけなのに、しがらみが多すぎる! と五十嵐さんは考えています。

五十嵐さん:「LULUbridalは、結婚式の固定概念をなくして、ナシ婚をなくします。料金形態は基本的に会費制で新郎新婦の持ち出しはゼロ、形にとらわれない結婚式を企画提案します!

既存のブライダル業界には、会場と下請けという上下関係が存在しますが、パートナー企業との共存共栄をはかり、カメラマンなどマッチングのためのECサイトもつくります。ぜひ皆さんも登録してください」

石鹸で世界を席巻!

株式会社アイローカル 三陸石鹸工房KURIYA 代表取締役 厨勝義さん

宮城県女川町で石鹸工房を営んでいる厨さん。

見た目がお菓子のようだと言われる、デザイン性に優れた石鹸をつくっています。

また、東北大学や、ロート製薬に安全面の指導をしてもらうことで、スキンケア製品に関するアレルギーなどの不安を解消しています。

厨さん:「宮城県のお米やいちご、ワインやはちみつなどを原料に使っています。食材王国は、スキンケアの面からみると実は素材の王国なんです。生産者の名前から出せることが強みです。

皆さんにとって復興ってなんですか? 僕らにとって復興とは、土地と人の豊かさを、こういった製品を通じて、全国そして世界中に広げていきたいと思っています」

医療福祉分野の発展に貢献する

合同会社TSUMIKI 代表社員 藤原光一郎さん

24歳で介護施設の再建を託され、医療福祉分野に深く携わってきた藤原さん。福島と仙台で事業を展開しています。

藤原さん:「医療福祉分野の課題解決にトライしていきます、ひとつは人材不足、もうひとつは、本業に専念したいという現場職員のニーズです」

そこでTSUMIでは、採用支援と、介護サービスと利用希望者のマッチング、2つのサービスを立ち上げました。行政機関は、利用希望者に施設の一覧を渡すことしかできず、どこの施設が空いているのかすらわかりませんでした。藤原さんはこういったサービスを全国に展開し、業界全体の発展に寄与していきたいと考えています」

食物アレルギーがテーマのオウンドメディア

株式会社まんまーる 代表取締役社長 松本典子さん

『山形食べる通信』の発行を手がけている松本さん。発行を通じて、食物アレルギーに関心を持つようにありました。食物アレルギーの子どもを持つ家庭にインタビューした結果、情報が不足しているという課題に行き着きます。

大手の外食産業やスーパーマーケットには、対応商品が存在します。しかしお客さんに伝わってない。

そこで松本さんは、これまで紙の雑誌をつくっていたノウハウを活かし、インターネット上で食物アレルギーについての情報を提供するオウンドメディアをつくりたいと考えています。

松本さん:「このプロジェクト、今日、私がやるべきことはこれなんだということに気がついて、さっきプレゼンテーション資料をつくりました」

本当は、異なる内容の事業について発表する予定だった松本さん。すばやい事業の見直しも、起業家のセンスとして大切なのかもしれません。

祭で地域を盛り上げる!

株式会社オマツリジャパン 共同代表 取締役 山本陽平さん

今回、東京から本プログラムに参加した山本さん。

全国でなんと30万件もあるという『お祭り』ですが、少子高齢化やコンテンツのマンネリ化という課題を抱え、地域の文化・コミュニティが衰退していってしまいます。

山本さん:「私たちは、お祭りが大好きです。もっと皆さんにお祭りに行ってほしい、主催者にも、もっと楽しくお祭りを作って欲しいという思いから、日本初のお祭り専門会社をつくりました」

リアルな事業では、お祭り運営のコンサルティングや、お祭りの企業プロモーションへの活用、IT事業では、お祭り情報のポータルサイトを運営しています。

山本さん:「日本のお祭りの中心は東北です。この仙台で事業を成功させることで、どんどん広めていきたいと思っています」

高齢者大国を活用し、知見を世界へ

株式会社テセラクト 代表取締役社長 小泉勝志郎さん

世界最高齢プログラマーとして国連総会でスピーチをした、若宮正子さん。彼女にアプリ開発を教えたのが、小泉さんです。小泉さんは、日本の高齢者へのプログラミング教育で、日本の高齢者の知見を世界に向けて発信していきたいと考えています。

小泉さん:「高齢者の知見を世界に、とはどういうことか。若宮さんがつくったひな壇というアプリは、雛人形を正しい位置に移動させるというゲームですが、一見すると人形をドラッグ(スワイプ)して移動させたくなりますよね。でも実際は、順番にタップして動かします。なんでそうなっているかというと、『年寄りは指が震えて、途中で離れてしまうから辛い』というのが高齢者自らプログラミングすることでわかる知見なんです」

高齢者の方がプログラムを学び、アプリを完成させるためのノウハウとカリキュラムをもち、世界最大規模の高齢者コミュニティをつくるのが小泉さんの目標で、高齢者向けパソコン教室等でのアンケートでは7割がプログラムを学びたいと回答するなど、ニーズ調査も行っています。

誰もが働きたいスタイルで、生産性高く働ける社会を

株式会社ココエ 代表取締役 近藤恵子さん

ベネッセコーポレーションで、妊娠・出産・育児の悩みを持つ助成のためのポータルサイトを運営し、現在はWebマーケティング会社を経営する近藤さん。

近藤さん:「長女が地元の保育園に11ヶ所落ちてしまい、保育園に通わせるために途中下車をして、一日3時間の通勤時間、極めつけに次女を妊娠し、辛いを通り越して『なんでこんなことをする必要があるのか』という思いにかられました。

この環境では、自分の能力をいかせず、社会に貢献できないのではないか、と思ったことが、今の起業の源泉です」

IT系人材は慢性的な不足に悩まされているといいます。そこで、近藤さんはWEB制作の定額サービスを開始し、Web制作者が子育てをしながら在宅でフルタイムの仕事をする環境を実現しました。

今後、日本中からWebの知識やスキルを持った人を活用し、在宅で働きやすい環境をつくることで、業界の人材不足も解決できるのではないかというビジョンを持っています。

介護高齢者に「あったらいいな」を創り続ける

シニアリンク・コミュニケーション株式会社 代表取締役 遠藤康弘さん

遠藤さん:「私の祖母は結構アクティブで、外出、買い物が大好きだった。そんな祖母が要介護状態になり、急に外出の機会が減ったんです。要介護状態になると、『当たり前』が難しくなる。そういった思いを解消したくて、会社を設立しました。

最初は介護施設に『買い物イベント』を提供しようとしましたが、うまくいきませんでした。

皆さんが求めていたのは、『物が買うこと』ではなく、実際に商品を見てものを選ぶこと、そして友達と会って話をすること、そういう『当たり前の日常』だったのです」

まず、可愛らしく買い物にでかけられるようなお洋服を沢山用意して、会場にもなつかしい音楽を流して……そういった体験を提供する事業を展開したところ、創業1年半で500を超える取引先ができたそうです。今では、お買い物だけでなく、訪問美容の事業も立ち上がりました。

介護高齢者があったらいいなと思うこと、困っていることはまだまだたくさんあります。今後会社の規模をさらに拡大して、これらのニーズに応えていきたいと考えています。

震災復興の経験を伝承し続け、世界中の方々に役立ててもらう

東北福祉大学 平泉研究室・株式会社エクセリーベ 平泉拓さん

臨床心理士として、被災者の心のケアにあたってきた平泉さん。

平泉さん:「必要性を感じたのは、行政職員のサポートです。行政職員間の、災害復興の経験をいかに継承するかが課題です。アーカイブ化とノウハウ化。アーカイブ化は仙台市がとても取り組んでいるので、私たちはノウハウの伝承に取り組みます」

ノウハウを伝えるためには、データを蓄積するとともに、正確・確実に伝承する、語り部が必要になります。そこで、ノウハウ集を配布したり、オンラインの語り部をつくり、非常時にはテレビ電話を使用して、現場職員の表情を見ながら悩み解決のサポートもできます。

研修や復興自治体の職員サポートなどでのマネタイズを見込んでいます。

女性の笑顔が溢れるまちをつくり、社会全体が笑顔溢れる世界をつくる

株式会社epi&company 代表取締役 松橋穂波さん

学生の頃、今の会社の前身となる女子大生サークルを運営していた松橋さん。地元中小企業の経営者からは、若者向け企画ができない、いい人材が欲しいが発信が届かない、という課題を聞いていました。

一方で、地域の女性たち……学生や、子育て明けの再就職希望者、Uターン希望者たちからも、地元での就職が難しい、情報量が少なくて、やりたいことを見つけられないという課題を聞くといいます。

従来の採用の仕組みが実情にそぐわないのではないか、と感じた松橋さんは、女性を対象とした地域実践型インターンシップ事業で、地元企業と働きたい女性のマッチングを実現できるのではないかと考えました。

松橋さん:「女性向けの商品開発やプロモーションに、女性が関わることで、特別な知識がなくても、これまでの経験や感性を活かして地域の企業に貢献することができます。女性たちは、そのような実務を通じて自分を発見し、選択肢を広げてもらいたい。

従来の押し込み型マッチングサービスのように、(インターン先への)就職に重きを置くのではなく、女性の道しるべをつくっていきたいと考えています」

子どもたちが、楽しみながら食べ物のことを学べる

株式会社プレイノベーション 代表取締役社長 菅家元志さん

株式会社プレイノベーション ディレクター 浜中圭助さん

菅家さん:「僕は、小学生の頃、太っていた自分がコンプレックスでした。私がいま思うことは、子どもの時に食べ物のバランスや、食習慣の大切さを学ぶ場が欲しかったということ。そこでこのカードを開発しました」

浜中さん:「私たちが住む福島県は、なんと日本で一番小児肥満の多い都道府県です。子供の頃の批判は、将来の生活習慣病につながると言われています。だからこそ、子どもの時代から生活習慣をよくすることは、喫緊の課題です。そこで私たちは、ゲームを通じて子どもたちの食習慣を変える、そんなカードゲームを開発しました」

企業から広告費をもらい、カードを学校やお店に配布、子どもたちには無料で遊んでもらうというモデルです。オリジナルキャラクターをタブレットでつくるといった要素もあり、子どもたちからは「今までで一番おもしろい授業だった」という反響も得られたようです。

既に福島や仙台で学校への配布も決まっており、現在は広告主を集める段階とのことでした。

日本中をあなたの研究室に

株式会社Co-LABO MAKER 代表取締役 古谷優貴さん

もともと研究者として、大学やメーカー、大学発ベンチャーなどで様々な研究開発に従事してきた古谷さん。

古谷さん:「(研究者が)やりたい研究をできない、ということを感じていました。それもそのはずで、研究費がほとんどない中で、実験に必要な機器は導入に数百万円から数億円かかるものもあり、なかなか実験をすることができません。

一方で、大学の研究室などには、使われなくなった機器が眠っているという現状もあります。

機器も、人も生かされていない。それは大学だけでなく、企業内でも起こっていました」

主要先進国の中で、日本は発表される論文数が圧倒的に減少しています。その状況を変えるために、古谷さんは研究機器などのリソースをシェアするプラットフォームを立ち上げました。

airbnbで部屋をシェアするように、Co-LABO MAKERでは実験機器をシェアできるのです。

古谷さん:「2月中のオープンに向け、日本中から既に1,300台以上の装置を既に登録しています。これによって、地方の研究室など、小さくても世界と戦えるようになる、新しい世界が待っています」

障害者就労支援の問題を解決

株式会社manaby 代表取締役 岡﨑衛さん

着ぐるみと一緒に登場する岡崎さん。キャラクターには一切触れず、プレゼンテーションがはじまりました。

岡﨑さんは、2011年から青森県八戸市で障害者の就労支援事業を運営し、そこでの問題解決のために2016年6月、manabyを立ち上げました。

岡﨑さん:「3つ、大きな問題がありました。就職を支援するのはよいが、人間関係などですぐ辞めてしまう。これをどうにか解決したい。2つ目は、障害者手帳を持っているおよそ半数の方が、定期的に事業所に通うということができないんです。既存の仕事は、事業所に来ないと仕事ができない。そうすると、その人たちに対するサービスができていないんじゃないかと。3つ目としては、精神障害を持った方はその日の天候などにも左右されやすく、十分な訓練ができていなかった。

その3つを解決するために、私たちはシステムを開発して、プログラミングやデザインも学べるように、最終的に在宅で働けるようなシステムをつくっています」

平成30年から、障害者の法定雇用率引き上げや精神障害者の雇用義務化、あるいは厚労省によるテレワーク推進などもあり、本事業は今後さらなる成長が見込めると岡﨑さんは考えています。

医師のつながる力で、現場の医療を支える

アンター株式会社 代表取締役 医師 中山俊さん

整形外科医の中山さん。日本は深刻な医師の人数不足で、現場の医師は日々の業務に追われて手一杯になっていると言います。

中山さん:「でも、医学はどんどん進歩しているんですね。専門性は日々高まるばかりです。東北は6県全てで圧倒的に医師が少ない土地です。現場で医師が足りないと、僕は整形外科医なのに、糖尿病の患者さんを診たり、透析の患者さんを診たり、いろいろなことが求められます。

ただ、医学が進歩している中で、自分の知識はアップデートされていない、わからないことがめちゃくちゃあるんです。(他の)専門分野の知識は本を読んでもわからない。最悪スマホで調べて……なんてこともあります。

でもわからない時に誰かに聞きたい、相談したい。そういうプラットフォームを、私たちはつくりました。AntaaQAは、実名制の医師専門サービスで、全ての専門分野の医師が参加しています」

これまで、実名制の医師向けサービスはなかったといいます。珍しい疾患の患者をどのように大病院に紹介するか、写真やレントゲンを添付して、傷や骨折の対処法はどうしたらいいか……そういったことについて、他の医師から意見をもらうことができるサービスです。

今後、スポンサー企業に情報提供、医師に向けた学習機会の提供などを行い収益を得るビジネスモデルを考えています。

世界の「おなかの悩み」を解決!

東北大学 東北メディカルメガバンク機構 助教 田中由佳里さん

田中さんは東北大学で医師をしながら、過敏性腸症候群(IBS)という病気の研究をしています。

田中さん:「日本にこの症状を持つ人は800万人いると言われています。しかし病院で血液検査やお腹の検査をしても、異常がない。だからうまく診察できないという問題があります。お腹だけでなく、脳の問題(ストレス)なども関係して非常に難しい。また、皆さんお腹が痛くなった時に、病院に来てくれないんです。なぜならトイレに行ってしまうから。なのでお腹が痛いときのメカニズムは、なかなかブラックボックスのままなんです」

症状が重いIBS患者が、うまく診察してもらえないために、仕事や、人生の夢をかなえるタイミングでトラブルを抱えてしまう、そんなジレンマを解決するためにIT技術を活用できないか、と生まれたのが、「おなかナビ」というiPhoneアプリでした。これによってIBSに悩む方の情報を取得し研究に役立てられるだけでなく、IBSの可能性について情報を提供することもできるようになったり、日々の生活改善指導に役立てることもできます。

田中さんはこのアプリを通じて、仙台から世界へ、おなかで苦しむ人にぬくもりを届けようとしています。

以上で、15名のプレゼンテーションが全て終了しました。

賞の発表前に、本日のイベントを総括して株式会社ゼロワンブースター代表取締役CEOの鈴木規文によるクロージングセッションが行われました。

クロージングセッション

鈴木:「登壇した皆さん、本当にお疲れ様でした。約4ヶ月間、本当に成長しました。どうですか皆さん、起業したくなりましたか? 起業っていいでしょう。

アクセラレーターの目的は、スケールビジネスを作ることです。小さいビジネスではなく、もっと広げようと。

世界の起業活動率のランキングで、日本は54ヶ国中最下位です。別に活動率なんて高まらなくていいじゃないか、内需もあるし、世界3位の経済大国だと思う人もいると思います。しかし、起業活動率と、GDP成長率は、相関するんです。

株式時価総額ランキングも、10年間で75%が入れ替わると言われています。経済を塗り替える、これがベンチャーの世界です。また、会社の年数が古いところはどんどん雇用が減っています。新しい会社、新しい事業しか、雇用を生んではいないのです」

鈴木:「世界を見渡しましょう。アクセラレーターは大量に実施されています。投資家がやっているケースもあるし、大手企業が回しているケースもある。そして、政府がやっているアクセラレーターは沢山あるんです。何故か。起業家が発展する地域は、経済が発展するからです。

その中で、グローバルと肩を並べるぐらいの基準でやっているのが、この東北アクセラレーターです。世界と同じ規模のプログラム、ぜひ誇りに思ってください。

皆さん、今日がゴールではありません。スタートラインです。ぜひ応援してあげてください。ぜひ自分でも起こしてください。東北から、日本から、世界を変えていきましょう」

クロージング〜表彰

15名の起業家が再び壇上に立ち、まずは、来場者の投票による共感賞の発表が行われました。

共感賞

株式会社Co-LABO MAKER 代表取締役 古谷優貴さん

株式会社manaby 代表取締役 岡﨑衛さん

東北アクセラレータープログラムのメンターも務めた、仙台市副市長の伊藤より、二人への表彰をおこないました。

古谷さん:「これだけ共感してもらえて、ちょっとびっくりしました。理系の研究の中の話で、共感を得るのは難しいかと思っていたので、本当にうれしいです。それだけ共感してもらえたということは、研究している人だけでなく、みんなが必要だと感じてくれたのかなと思っているので、なんとか実現していきたいと思います」

岡﨑さん:「僕が会社やってからここまでこれたのは、スタッフのおかげ。最初は人から共感されることに関心がなかったが、何かをやるときというのは、多くの人に影響を与えて、それを恩返しできるような形でやならけれなならないんだなと痛感しました。今回皆さんに共感いただいたこと、返せるように頑張りたいと思います」

ドイツアクセラレーター賞

今回の東北アクセラレーターでは、なんとドイツのアクセラレーターでの研修も用意されていました。こちらは、ビジネスモデルの内容と、マッチングの可能性から、事務局が2チームを選抜しました。

合田:「今回、東北あるいは関東を含めたつながりをつくると同時に、海外ともつないでいく。皆さん、なぜドイツなんだと思いますよね。日本ではよくシリコンバレーの名前が挙がります。これは悪いことではないです。ただシリコンバレーと日本はルールが違うんですよね。違うものを持ってきてもなかなか機能しないと。一方でドイツと日本は、産業や社会システムが似ているんです。ドイツは産学連携、起業も含めて、日本の一歩前を行っている。だから我々はそこから学びたいし、残念ながらここにいる全員を招待することはできないが、代表して、 このネットワークに、東北に、日本に持って帰ってきてもらうことが目的です」

受賞

株式会社Co-LABO MAKER 代表取締役 古谷優貴さん

株式会社プレイノベーション 代表取締役社長 菅家元志さん

総評

最後に、『TOHOKU ACCELERATOR DEMO DAY』そして『Sendai for Startups!』全体の締めくくりとして、伊藤より講評を述べました。

伊藤:「Sendai for Startups!は今年で6回目。東北が今、どんな状況の課題を持って、どんな人達が課題解決のために事業を興そうとしているのか、わかっていただけかと思います。活気を地域経済に結びつけることができた3日間だと思っています。

東北は課題の先進地と言われています。課題に押しつぶされてしまうのか、そういうまちではありません。志の高い皆さんがいます。しっかりと、我々の経済を支える主役として、ご活躍していただきたいと思います」

以上をもって、金・土・日の3日間にかけて行われたSendai for Startups! 2018の全プログラムが終了しました。

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